世界はそれを愛と呼ぶ



「槙が、四季の家に関係があるのが怖いか」

「……全部よ。全部、怖い。私の大切な人達が、私の知らないところで苦しんでいるかもしれない事実が怖くて、私に何もできることなんてなくて、だから」

「湊さんは、帰ってきたんだろう」

ぎゅうっと、力が篭もる。
沙耶にとって、大切な存在は本当に多くて。

それだけ大切に、守られ、愛されてきたということで。

(……まあ、それは俺も同じか)

ここ最近、身近で感じる痕跡を思い出す。

「─帰ろう、沙耶」

「え」

「湊さんに話を聞いて、俺たちの家に帰ろう」

沙耶の精神状態は、はっきりいって不安定だ。
でもその原因も、恐らく、相馬が関係していて。

(沙耶のそばに居続けることが最善かと聞かれたら、そうでは無いのだろう。宙ぶらりんな関係は、互いにとって良くはないけれど……)

「─大丈夫だよ」

抱き上げて、相馬は微笑む。

「俺は、お前の味方だからな」

君のそばは、落ち着いてしまうから。

ギュッと抱きついてきた沙耶を抱き締め返しながら、相馬は自分の浅ましさを実感した。

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