世界はそれを愛と呼ぶ
「あるんだ!へぇ〜!」
「……俺が言うのもあれだけど、そこ、テンションあがるんだ?」
「うん。だって、気にならない?天狗は本当に空飛べるのか、雪女は本当に周囲を凍らせるのか、轆轤首の首は本当に伸びるのか、とか」
─わざとなのか、なんなのか。
覚えのある妖怪の羅列に、
「飛べるし、凍らせるし、伸びるよ……」
と答えるのが、相馬には精一杯。
沙耶は楽しそうだけど……。
「じゃあ、相馬にも角が生えるんだ?」なんて。
なんて事ないように言われて、
「……怖くないのか?」
と、思わず、こちらが一歩引いてしまう。
そんな相馬の不安もよそに、
「別に……?それも、相馬の個性のひとつじゃ?」
と、きょとん顔。
相馬が余計なことを気にしすぎなのかと疑うほど、沙耶はなんでもないような顔をしていて、変な気分になる。
「じゃあ、里は御園家とは違う、生粋の鬼がいる場所ってことかな?」
「あ、ああ……」
「人間と交わっていない……今の時代だと、御園の保護下で生きているってこと……?」
「まぁ、そうだな。里がある周辺はある程度、鬼が生き延びることができる環境に整えられてはいるけど」
「里が認めない当主って、里の存在を否定する当主ってことかな?生存的な意味でも、当主は理解力高くないと難しいもんね」
「その意味合いもあるけど、里の人間は当主に膝を折らなければならないという意味もあるから、膝を折りたくない相手は認められないよなって話」
「はぁ〜なるほど」
「そういう意味では……俺は問題無かったけど」
「そういや、相馬が当主になったの、早かったもんね」
何気ないように全部返されるから、テンポよく話が進んでいく。
「……俺は、規格外だったから」
そう紡いだ言葉さえ、
「そうなの」
と、何気ないように返され、ぽんぽんと腕を叩かれ。
沙耶の顔を見れば、にっこり。
─思わず、抱き締める腕の力を強めてしまう。