世界はそれを愛と呼ぶ


「パーティーを開きましょうか」

「パーティー?」

「はい。俺が先導します。御園家当主としてパーティーを開くので、それに参加して頂きましょう」

夏の終わり、適当に名前をつけてパーティーをする。
間違いなく、御園が招待すれば、彼らは参加する。

「それでどうする気だ?」

「勿論、おふたりに話を聞くんですよ。健斗さん達にも協力してもらうことになりますけど……」

「ですが、そういう公の場では、当主は秋乃様のお側を離れません」

「離せばいいのでしょう。任せて下さい。御園家の総力をあげて、その日は潰しますので」

長く生き残ってきた家には、それだけの理由がある。
相馬が微笑むと、湊さんが

「……相馬を侮った奴、全員、落ちぶれている理由がわかるほど、にこにこ笑ってやり口がえぐい」

なんて言うから、

「褒め言葉として受け取っておきますね」

と、相馬は笑顔で返した。

「家から出ないならば、家から出せば良いのです。もっとも、その家の中にも俺の手の者は何名か入ってますけど……幸い、凌さんと連絡取れるまでが早かったですし、フィーはどうも問題が起きたらしく、もう少し時間がかかるとの事で連絡を貰ったので、先に四季を一部だけでも片付けたいですね」

「片付けるって言ったって、北御門のように全員悪人な訳じゃないでしょ?どうするの」

「退いてもらうんですよ。政治の世界でもそうですけど、定期的に頭は入れ替えなければ。若輩者には任せられない、とかなんとか抜かす人もいますが、停滞した脳でこれ以上、何を成せるというのか。道が間違っているならば、それを止めるのも臣下の役目。そして、その臣下を選び、育てるのも、頭の役目でしょう。ならば、早めに行動しなくては」

歳をとってからだと、人は隠すのが上手くなる。
お金に余裕が出てくるからか、情報ばかり取り入れているからか、色々な要因が重なり合い、面倒なことになるため、御園家などは幼い頃から各家、顔合わせがある。

そうして築いた関係が、薫や甲斐などの幼なじみ達。
互いに守るものがあるため、互いを利用する。
また、互いに助け合うため、その関係は持続する。

「夏の家、常磐家では早急に、常磐冬陽に継いでいただきましょう。不慣れな部分は、神宮寺家が補佐します。俺だと、乗っ取りだなんだと面倒くさいことになるでしょうし……春の華宮(カク)家は、現当主に合図を下せば、すぐに娘に継がせる意思があることは確認済です。秋の西大路(ニシオオジ)家は……廃墟の地下で、恐らく直系と思われる娘を保護しましたので、もう少し様子を見ることにしましょう」

「冬の天ヶ瀬(アマガセ)家には、御巫の者を数名、派遣されていると聞いたが」

「そうですね。秋にも浅宮(アサミヤ)家の者を」

「浅宮?御巫にそんな関係者いた?」

「実はいます。御巫家の縁者です。御巫統(モト)─現在の当主が初代なので、次期後継者は注目されています。その候補のひとりにもなりますね」

「……どういう繋がり?」

「ああ。統─ダメですね。こういう話をしていると、当主としての頭になる。上からに感じるかもしれませんが、ご了承ください」

彼らは目上のものだというのに。仕事のし過ぎか、自分は上手く切り替えるのが苦手らしい。
初めて見つけたと言ってもいい欠点に、戸惑ってしまう。

「気にしなくていいよ。大体、表で相馬にこんな態度を取ったら、しょっぴかれるのは俺でしょ」

湊さんはそんなことを言うが、まあ、確かに過剰な護衛もいるから否定はできず、

「大丈夫です。守るので 」

と、相馬が言うと、

「それは、光栄だね」

と、湊さんは笑った。

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