世界はそれを愛と呼ぶ


「─そもそも、四季の家ってなんだと思いますか?」

相馬が尋ねると、

「名家だろう?様々な事業を抱えて……」

湊さんは、模範解答だ。 でも、相馬の尋ね方からして、単純にそういう問題では無いと察したらしい。

「─その事業を長年、分け与えてきたのが、御園家です。つまり、華宮家、常磐家、西大路家、天ヶ瀬家は言い換えると、御園の分家みたいなものなんですよ」

だから、御園家が帝王と呼ばれている。
しかし、ではなぜ、神宮寺家が代表者なのか。

「俺と話している以上、ある程度の情報は掴んでいるとお見受けしています。なので、理解は及ばずとも、御園家の秘密などを察していらっしゃることでしょう」

「……そこに踏み込んだら、生きて帰れないか?」

「まさか。俺が当主として責任持って、おかえししますよ。ただ、覗かないことをおすすめします。好奇心で除けば、あちら側がどう動くか分かりません。向こうにも意思があるので、無闇に縛り付け、言うことをきかせるという行為は好まないので」

相馬が注意喚起を込めて微笑めば、ふたりは頷く。

「何を聞いても、他言しないと約束します」

「情報屋にとって、お喋りは御法度だからね」

二人の言質を取ったところで、相馬は話す事にした。

「初めに、御園家が生まれました。人間が持ちえない特殊な能力を持って生まれる子供が多く、その付き合い方を探っていく日々の中、春の家が生まれました。今の華宮家ですね。その家は、治癒力と呼ばれるものが強い家です。その力を使い、彼らは発展していきました。春のように華やかな人達ではありますが、同時に暖かく優しい穏やかな人々でした。─少し前にゴタゴタがあったでしょう。凌さんも巻き込まれたやつです」

「ああ……」

「それこそ、それは20年近く前ですかね。俺は産まれてないので。その事件はなぜ起こったのか、簡単にまとめるなら、それはそこに至るまでに、家が汚い欲を孕んだから。直系から離れてしまったのも問題のひとつでしょうが、春の家が能力を使えるのは、他人を慮る感情を持ち合わせているからです。しかし、それを忘れ、金稼ぎに夢中となり、身内の心すらも壊し、平気で命を奪う人が出てきたので、天から鉄槌が下ってしまったんです」

「それが、あの、雷による……」

相馬は、静かに頷く。

「最終的に、現在は本来の春の血筋に戻されました。このように、少しずつ発展していった春の家はどんどん分けれていき、最終的に現在の四家になります。春から発展していったので、夏、秋、冬の家もそれぞれ、抜きん出た才能を持つ子供が産まれました。そんな彼らを統率していたのが、春です。しかし、直系がいなくなったゆえ、声で統治していたにも関わらず、それが効かなくなりました。だから、全ての能力を無効化できる神職の、神宮寺が代表として存在しています」

「じゃあ、神宮寺の力があれば、常磐とかも止まるってことじゃ……」

「そこなんですが、直系同士や能力を持つものではないと、神宮寺の力は通じないんですよね。試してはいるんですよ?でも、無理でした。つまり、今の夏、秋、冬の当主はお飾りで、能力を使えない無能ってことです」

だからこそ、早急に引きずり下ろさなければならない。

「御園家は血筋にうるさいですからね、徹底的に潰し、本来の流れに戻さなければ……最悪、俺が死ぬ前、または死んだ後くらいに、一般人が巻き込まれる、大災害が起こるでしょう」

「例えば?」

「考えうるもので、この国全てを飲み込む大噴火。とかですかね?」

それだけで済めば、まだ可愛い方かもしれない。

「大問題じゃないか」

「大問題なんですよ。四季の家は能力を活用することで、この国の大地の下、普通の人間は感じないほどのエネルギーを使用します。それが使用されず、溜め込まれるばかりなら、いつか」

あくまで相馬の予想であり、実際にそんなことが起こるのかと問われれば、正確性はないが。

相馬の中に眠る化け物が、ほぼ確信している。
だから、間違いないのだと思う。

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