世界はそれを愛と呼ぶ

第4節 真実の翳り

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「一体、何がどうなってそうなったんだよ」

相馬は目の前で疑問を隠せず、好奇心を隠そうともしない幼なじみ達を見ながら、

「何が？」

と、聞き返した。

「何がって……お前、黒橋の娘と何があったんだ」

いつもこちら側に興味が無い薫も、流石に気になるのか。
相馬は首を傾げながら、鍋をかき混ぜた。

「……大体、今、何してるんだよ」

「シチュー作ってる」

「なんで」

「沙耶が食べたいと言ったから」

「意味がわからん！」

「─氷月、これ使いやすいな」

「でしょ。そのシリーズの調理器具、オススメだよ」

わぁわぁ喚く幼なじみ達を置き去りに、氷月と調理器具で盛り上がると、

「兄さん、ここに来た初日くらいからずっと、沙耶とは一緒にいるよ〜」

と、背後から水樹が口を挟んだ。

「相馬が！？何で！？」

相馬の母親との確執や、相馬の女嫌いぶりをよく知っている彼らはどうしても驚きを隠せないらしく、

「喧しいな……」

相馬は火を止めながら、思わずボヤいてしまう。

「まぁ、俺達も入ったことがない家から、相馬が彼女と出てきたらそりゃあ、驚きもするよ。自分のこれまで振り返って、自分が逆だったら驚くでしょ？」

「ん〜まぁ？」

「簡単に言えば、薫が桜以外といるようなもんだよ」

「それは驚く」

「ね？─数日前、急に幼なじみグループにメッセージ送ってきたかと思ったら、一緒にショッピングしてきて欲しい、なんて。しかも、それがこの街の娘ときた。どんな絶世の美女と言われた女優やモデルが相手でも、全力で嫌な顔をして姿消してた男が、1日で陥落となれば、みんな気になるよ」

「そういうもんなのか……？別に陥落とかでは無いけど」

相馬が理解できない範疇で話をしているらしい彼らは、

「まぁ、普通に沙耶は綺麗だけどな」

と、相馬が新たに落とした爆弾で沸き立つ。