世界はそれを愛と呼ぶ
「そ、相馬が」
「どうしよ、めっちゃ楽しい」
「え、本当にどうしたんだよ……」
分からん。こいつらのテンションが、本当にわからん。
「綺麗だろ?普通に」
父親譲りの濡羽色の黒髪によって映える白い肌は、飾り甲斐があると、楽しそうに飛び出していった澪たちを思い出して、相馬は首を傾げた。
「沙耶、暫くうちで生活させることにしたんだが、あいつ、びっくりするくらい服とか持っていなくて。制服だけじゃ足りない時もあるから、買うように言ったら、後回しにして言うこと聞きそうになかったから、交渉の末、あいつらを頼ったんだが」
「その、暫く、相馬の家に住むようになったというのは?」
「家にご家族が居なくて、とある事情で今、あいつをひとりにするわけにいかないんだよ。色んな意味で」
ご家族がいない所を狙われ、もしも何かがあった時のことを考えると、本当にたまったものじゃない。
健斗さんに連絡をした時、沙耶が相馬の前で眠ることができたと聞いた時、出張が入るからお願いしようと思っていたが、出張が早まって上手く連絡できなかったから、助かったと言われた。
何より、彼女の1日の生活を考えたら、今は完全に誰かの目がないと、ご家族も安心して仕事が出来ない。
「ふうん。相馬までもが転入っていう話から、絶対になにか裏があると思っていたけど、キーは彼女っぽいね。まぁ気になるのは気になるけど、ふざけるのはこんなところにして……」
「廃墟か、相馬」
薫もある程度は予測しているらしく、こちらを見てくる。
桜が運び込まれた経緯がどうしても説明がつかないという話をした時、「だろうな」と返したこいつは。