取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
「君も俺を疑っているのか」
「そういうわけじゃ……」

「じゃあ、信じてくれているか?」
「信じたい……」

「『信じてる』わけじゃないんだな」
 確定的に言われ、優維は目を地面に落とした。
 猫の木像が偽物である可能性は父によって否定された。証拠もないのにどう信じたらいいのだろう。

「本当のことを教えて」
 優維の言葉に、千景はふっと皮肉な笑みを浮かべる。
「君にとっての本当のことってなんだ?」
 聞き返され、優維は言葉につまる。

「俺は最初からやってないと言っている」
「そうだけど……」
「つまり、疑っている。それだけで充分だ」
 彼は優維に背を向ける。

「明日、離婚届をもらって来る」
「そんな……」
「こんなことなら結婚しないほうが良かったな。あの男のほうが君を大切にしてくれるのかもしれない」
「そんなこと言わないで!」
 優維は追いすがり、後ろから抱き着く。
 彼は驚いて、それから言った。

「神域でいちゃつくのは嫌なんだろ?」
「なんでそういうこと言うの!」
 優維の叫びに千景が振り返る。
 その瞳には悲しみと怒りが入り混じっていた。
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