取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
 それからは連絡先や現在の進捗を教えてもらう。
 保護団体と言えば、と優維はいつだったかのスーツの男を思い出す。

 結局、あの男はなんだろう。もしも共犯なら、千景は聞いただけで自分をどうにかするのだろうか。
 昨日の会合では警察を呼ばない方向で話が進んだが、彼にとっては好都合だったのだろうか。もし警察を呼んだらどうなっていただろうか。
 だが、千景が無実ならあの男は?

「優維さん、聞いてる?」
 呼びかけられ、はっとした。考えにふけって千景の言葉を聞き逃していた。

「ごめん、なんだっけ」
「俺がハワイの神社に行く、という話。SNSで巫女舞の発表会を上げたあと、あちらから連絡があったんだ」
 ハワイにも神社はあるが、このタイミングとは。

「じゃあ、ここを辞めたあとに行くの?」
「そうだな」

 まさかそんな遠くへ行くことになるなんて。
 もう二度と会えないかもしれない。
 行かないで、とは言えなかった。
 彼の無実を証明するどころか信じ切ることもできず、そんな自分にそれを言う資格はない。

「せいせいするだろ、嫌な男がいなくなるんだから」
「そんな言い方しないで」
 嫌どころか、もうとっくに彼のことを好きになっていた。
 タイミングを逃して伝えられていない。
 このまま自分たちは終わってしまうのだろうか。
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