取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
「俺は神社が欲しかっただけだ。良かったな、こんな男と最後までの関係がなくて」
「嘘よ。本心じゃないよね?」
「次はハワイで狙おうか。日本から離れている分、雑音もないだろう」

 雑音とは窃盗疑惑のことだろうか。
 このまま別れてしまって、本当にいいのだろうか。
 せめて気持ちを伝えたい。
 だけど、こんなタイミングで。
 だけど、今しかもう機会がない気がする。

「……私、あなたのことが」
「愛してると言ったのは嘘だ」
 遮るように彼が言う。

 優維はぎゅっと唇を噛んだ。
 告白しようとした意気地が急激にしぼんでいく。伝える前に拒絶されて、それでも伝える意味が見いだせない。

「お金……いつか必ず返すから」
「処理は全部終わってる。返されるとかえって面倒だからやめてくれ」

「ごめん」
「どうせあぶく銭だ、気にしないでくれ」

「気になるよ」
「だったら」
 彼は言葉を切って、彼女を見る。
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