取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
「以前、神社で働いていた人です。合いカギを作っていたら、忍び込んで盗むこともできます」
「本人に連絡は?」

「連絡がとれないんです。家に行ってみようと思ってたんですけど、杜澤さんに伝えてからにしようと思って、今日はやめました」
「良かった。ひとりで行くのはやめてください。危ないですよ」

「それなら、一緒に行ってもらえませんか?」
「私が?」
「……すみません、図々しいですね。ひとりで行ってきます」
「駄目ですよ」
 聖七は優維の手をとり、自分のほうを向かせる。

「あなたが行くというのなら、私はどこまでもご一緒します」
 真剣な目で見つめられ、優維はうろたえた。

「しかし、あの男のために危険を厭わずに行動するとは」
「危険と決まったわけではないです」
 わかってないな、とでも言うように彼は首をふった。

「女性がひとりで男のところに乗り込む、それだけで危険なのですよ。まったくわかっておられない」
「ですけど」

「結局、あの男はあなたを置いて行ったんですよ。もうあなたの隣にはいない。なのにやるというのですか」
「……信じるって決めましたから」

「そこまで思ってもらえる彼がうらやましい」
 ぐい、と彼が優維に近づいた。
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