取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
「少しタイミングが違えば、私がその立場になっていたのに」
「え?」
 優維は目をまばたかせた。
「これからは私があなたを守ります」
 優維は戸惑い、身じろぎをする。

「困ります、そういうのは」
「困らせるつもりはありません」
 彼の顔が間近に迫り、優維は身を退いた。

「どうしたんですか、聖七さん」
「あなたが美しいのがいけないのですよ」
 聖七が優維の頬に手を伸ばす。
 顔をそらして逃れると、ソファにぐっと押し倒された。

「やめてください!」
「言ったでしょう、女性がひとりで男のところに乗り込むのは危険だと」

「わかりました。わかりましたから離してください」
「なんど見ても美しい……あの男が消えて良かった」

「離して、誰か!」
 必死にもがいて叫ぶが、誰かが来る気配はない。
「誰も来ませんよ」
 聖七は細身に似合わない力で、優維をソファに押し付ける。

「もう少し時間をかけるつもりでしたが……あなたがそうさせてはくれなかった」
「どういうこと……?」
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