取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
 自宅に着くと、直彦は予定外の千景の帰宅に驚いた。
「ハワイは? 優維もそのかっこう、どうしたんだ?」
「いろいろありまして。神像の盗難疑惑は解決しそうです」

「なにがあったんだ?」
「詳しくはあとで。優維さんが疲れていますので」
 千景がそう言うと、直彦は困惑しながらも引き下がってくれた。

 優維は千景に促され、シャワーを浴びた。
 その間に彼が直彦に事情を話してくれて、風呂上りの優維が茶の間に顔を出すと、直彦に大丈夫かと尋ねられた。

「大丈夫。千景くんが助けてくれたから」
「本当にありがとう、千景くん」
 直彦はがばっと頭を下げた。

「なんども君には助けられた。一生の恩人だ」
「私は大したことはしていないですよ」
 千景はそう言って直彦に頭を上げさせる。

「できることなら離婚せずにこのままいてほしいんだがな」
 直彦の言葉に優維はなにも言えなかった。千景も無言だ。

「すまない、私が口を出すべきではないんだが」
「跡継ぎなら、優維さんが立派に務めて下さいます」
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