取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
「本当に欲しいのは神社ではないですか? 一般人には見えませんでした。反社の資金洗浄に宗教法人が使われるのはよくあることです」
「聞いたことある。休眠状態の宗教法人が買われたとか。どうしてもっとちゃんとしたところから借りなかったのよ」

島岩(しまいわ)さんの紹介だから大丈夫だと思ったんだ」
 島岩勇雄(いさお)は氏子の総代表で、長年のつきあいがある。老年だが元気で、優維も孫のようにかわいがってもらってきた。父とは麻雀仲間でもある。

「とにかく今は借金ですね。私が返済しますからご安心ください」
 千景が断言し、優維と直彦は恐縮した。

「そんなわけにはいきません」
「では無利子でお貸しします。弁護士を入れて借用書を作りましょうか。それなら安心でしょう」
「しかし……」
「尊敬する根古間さんの窮状を黙って見ていられません。どうか私にお手伝いさせてください」
 千景が頭を下げる。

「助けて下さるというなら、このまま娘を嫁にもらっていただけませんか」
 直彦の言葉に優維は慌てた。
「お父さん、なに言うの!」

「娘は神社の娘として生まれて、大変だったと思います。もっと普通に過ごさせてやりたかった。結婚して、娘をこの神社から解放してやってください」
「なによそれ!」
「優維さんはそれを望んでいないようですが」
 千景は冷静に返す。
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