取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
「昨日は気持ちよさそうだった。またこれからしようか」
 言って、彼は優維に深く口づける。優維はそれだけで体の奥がもぞもぞして落ち着かない。
 たっぷりと彼女へのキスを楽しんだあと、彼は唇を離した。

「その気になってきた?」
「あ、や、駄目よ、朝のお勤めがあるでしょ!?」
「仕方ないな」
 彼はまた優維にキスをしようとする。
 とっさに優維は避けてしまった。
 あ、と思って彼を見ると、彼は少しむっとしている。

「キスすらしてくれないなら、我慢しない」
 言って、彼は彼女の胸に手を伸ばす。
「わかった、わかったから!」
 顔を向けると、にやりと笑う彼が優維の唇を奪う。

 昨日までの彼は紳士だったのに、どうして豹変してしまったのだろう。
 ……いや、今まで猫を被っていただけなのか。

 この先どうなるんだろう。結婚って、こんなことが毎日続くのだろうか。
 熱を帯びる一方の自分に戸惑いながら、優維は彼の気が済むまでたっぷりとキスを受けた。



 彼と共に身支度を整えて一階に降りると、帰って来た直彦が風呂から出たところだった。
 三人で朝食を取ったあと、千景と直彦は朝拝の準備に向かう。

 優維は朝食の片付けを終らせ、社務員の装束に着替えた。巫女と違って袴は松葉色だ。この色は神社によっては研修中の巫女が着ることもある。社務員は袴を着用しない神社もあるし、さまざまだ。

 優維が神社に行くと、すでに掃除を終えて神饌を供え、朝拝の準備が整っていた。
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