取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
「なにかおかしいところがあったか?」
「いえ……あとでちょっと遡って見てみます」
「大丈夫そう?」
 声をかけると、千景は「大丈夫」と笑みを返した。

 優維はお守りの入った木箱を窓の外の台に置き、近く行われる地鎮祭の祝詞の原稿を作る。基本の形は決まっているが、名称を変えたりなどして整えるのだ。完成したら直彦に確認してもらって完了となる。
 その後は警察から掲示協力を求められたポスターが届いていたので、掲示板に貼りに行った。ストップ違法賭博! オンラインカジノの賭博は違法です! と書かれている。

 お昼になると、一足先に直彦が食事をとりに自宅に戻った。
 千景とふたりきりになってしまい、なんだか優維は気まずく感じた。
 そう思ったのは自分だけのようで、千景は優維の隣に座り、まじまじと彼女を見る。

「なに?」
 居心地悪く聞くと、彼はやわらかく笑んだ。
「巫女の衣装じゃない。俺のものになった感じがしていいな」
「こんなところでそんなこと言わないで!」
「事実だろ。もう人妻だ。……人妻って響きがいいな。しかも俺の妻だ」
 彼の艶っぽい目に昨夜を思い出して顔が熱くなる。慌てて話題を変えた。

「どう、この神社は」
「思った以上に暇だな」
 率直な言葉に、優維は苦笑した。

「大藤神社なら土日は参拝者が多いんでしょうね。猫の手も借りたいほど」
「まあそれなりに。御祈祷もあるし。こちらはどうなんだ?」
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