取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
「御祈祷に来る人はあんまりいないよ。昔馴染みの人がたまに来るだけ」
 収入はお賽銭や御祈祷、授与品の授与、氏子の寄付によるが、さほど多くはない。

「やはり人が来ないことにはな。収支を見せてもらったが、悪くなる一方だ」
「そうなんだ……お父さん、私には一切見せてくれなくて」

「心配かけたくないんだろう。この状態では新しいことをするのも難しいだろうな」
「それで私も足踏み状態だったの」
 資金がないことにはなにもできない。調べたり思い浮かんだりするのはいつもお金のかかる企画ばかりだ。

 たとえば大祓(おおはらえ)
 六月末には夏越しの(はらえ)として、年末には年越しの祓として()の輪くぐりを行う神社もある。(かや)で作られた大きな輪をくぐって災厄を祓うのだ。それを当社でもやりたかったが、費用を捻出できなかった。

「お義父さんにも許可をもらったから、まずは一言投稿サイト、画像投稿サイトを活用しよう。アカウントは作ってある」
「もう!?」
 昨日もそうだったが、彼は行動が早くて驚く。

「初投稿は君の写真」
「嘘!」
 驚く優維に、彼はにやりと笑う。

「嘘だよ」
「驚かさないでよ」
「美しい妻を自慢したい気持ちはあるが、君目当ての参拝客が来ても困るからな」
「なに言ってるのよ」
 照れる優維に、千景はふふっと笑う。
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