取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
「こちらは場所を貸すだけだ。あちらは場所代がかからないだけでも助かるらしい。ここなら駐車場もあるし」
「あなたはただで猫に触れるし?」
 茶化して言うと、彼は苦笑した。

「三方よしでいいじゃないか」
「新しいお守りは明日次第で決めるのよね?」
「人が来るなら授与品の頒布増加が見込めるからな。小ロットで作れるところも目星をつけた」
 納品されたお守りに御祈祷をして授与品とする予定だった。

「御朱印はさっそく明日からよね」
 さきほど千景の試し書きを見せてもらったが、篆書体(てんしょたい)の朱の社名印に重ねて墨痕淋漓(ぼっこんりんり)とした『根古間神社』の墨書(ぼくしょ)があった。かっこよくていつまでも眺めていられそうだった。

「土日限定でスタートだ。まずはオーソドックスに神社名と印章だけで、そのうち猫の肉球スタンプを押したりして猫まみれにしてやる」
 猫への野望を燃やしている様子に、優維はつい笑ってしまう。

「笑うなよ」
「だって、真面目な顔で猫まみれだなんて言うんだもん」
「そんなこと言うと……わかってるか?」
 目に色気を漂わせ、彼は言う。

「し、知らない!」
「じゃあたっぷりわからせてあげないとな」
「真昼間から!」
 彼のいたずらっぽい目が優維を見つめる。
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