取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
「仕事が忙しいみたいだけど無理するなよ」
 彼の気遣う言葉が胸に痛い。
 一週間後、「神像が届いた」と連絡が来て、また聖七と会うことになった。
 こっそり連絡を取り合って内緒で会うのが、浮気をしているみたいで気が引ける。

 荷物の確認があるから、今度は居酒屋に入った。壁のある半個室なので前後の席からは見えないが、通路側には壁がないから密室にふたりという状況は避けられる。
 席について飲み物とおつまみを注文し、聖七は優維に確認する。

「家のほうは大丈夫ですか?」
「大丈夫。残業で遅くなるって言ってあるから」
 言いながら、これも浮気中の妻のようだ、と罪悪感が募る。

「それで、これなんですが」
 彼は持ってきた紙袋から包みを取り出してテーブルに置いた。
「確認してください」
 国際郵便で届いたもので、ラベルは英語、発送元はアメリカだった。
 優維が包みを開けると、中には梱包材に囲まれた猫の神像がある。

「これ……修理に出してるって言われたのに」
「本人に言ったんですか!?」
 聖七が驚きの声を上げる。

「本殿に確認に行ったら出くわしちゃって、そのときに」
「危ないことはしないでください」

「大丈夫、だと思う」
「あなたになにかあったら私は……」
 言葉を切る彼に切なげに見つめられ、優維は顔を伏せた。
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