取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
「わ、私がいます! 会社をやめて神職の資格をとりますから!」
 優維が慌てて言うが、ため息をつかれた。

「それまでどれくらいかかる?」
直階(ちょっかい)なら、本庁から推薦状があれば一カ月の講習でとれます」
 神職資格には浄階(じょうかい)明階(めいかい)正階(せいかい)権正階(ごんせいかい)、直階と階位があり、直階は一番下だ。跡を継ぐには権正階以上の階位が必要だ。専門の大学を出た千景は明階だ。

「でも管理だけなら神職でなくてもできます」
「だけどなあ?」
 ひとりが言い、総代のみんなが頷く。

 信用がない、と優維は悔しくなる。
 自分が男であれば任されたのだろうか。女だから駄目なのだろうか。

「彼女に頼んでもいいのでは?」
 聖七が言い、みなが彼に注目した。
「部外者が申し訳ございません。ですが、外部の神職より彼女のほうが詳しいでしょう」

「だが、いずれ再婚して出て行くんじゃないか?」
「神社に婿に来る男はいないだろうし」
 総代たちの言葉に、優維は悔しくてぎゅっと拳を握った。
 自分の家のことなのに、他人に決められて選択すらできないのだろうか。
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