取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
 総代会は気まずい空気のまま終了を迎えた。
 優維が総代たちを順に見送り、最後に勇雄と聖七が残った。
「優維ちゃん、大丈夫か? お父さんもいるけど、あんな男と同居なんて」
 勇雄の気遣いに、優維の胸がずきんと痛んだ。

「大丈夫です」
「優維ちゃんは優し過ぎるよ。俺は心配だ。あの男……悪い奴ほど猫を被るんだな」
 勇雄はため息をつく。

「島岩さん、ここから先は彼女のプライベートですから」
 聖七に止められ、勇雄は彼を見た。

「あんたみたいな人が優維ちゃんの旦那だったら良かったのになあ」
 優維は思わず聖七を見た。
 目が合うと、彼は困ったように微笑を浮かべる。

「それじゃ俺は帰るけど、なにかあったらすぐ言うんだよ」
 そう言って勇雄は帰っていった。

「すみません、こういう形での暴露は本意ではなかったんですが」
 聖七の謝罪に、優維は首を振った。
「いつまでも隠しておけませんし、仕方ありません」

 落としどころを見つけてからと思ううちにずるずると日が過ぎてしまった。自分の不手際だ。
 このことを千景に聞く勇気がなかった。もっと早くに彼に聞いていたら、父に話していたら、結果はもっと違ったのだろう。

「なにもかもうまくできなくて……私が神社を管理していけるのか、不安になります」
「あなたを支えたいと思っている人は、あなたが思う以上にいますよ」
 言われて彼女は顔を上げる。優し気な瞳に優維は切なくなる。
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