だって結婚に愛はなかったと聞いたので!~離婚宣言したら旦那様の溺愛が炸裂して!?~
食事会以降、お母様からの連絡は入っていない。彼女は言いたいことをたくさん抱えていそうな雰囲気があっただけに、ほっとすると同時に訝しくも感じた。
このまま、なにも言われなければいいけれど。
そんなふうに願っていたが、水曜日になった今日。仕事から帰宅した私に、兄から電話がかかってきた。
『疲れているところに悪いな。一応、紗季の耳にも入れておこうと思って』
よくない話だと、これだけの言葉で嫌というほど伝わってくる。
タイミングからしてお母様に関する話なのだろうと想像がつき、内心でため息をついた。
『実は、先日来店してくれた貴美子さんだが』
早々に告げられた名前に、やっぱりそうかと顔をしかめる。
『うちのレストランに、自分のお気に入りのパティシエを起用するように動いていたんだ』
「なんですって⁉」
さすがに想定外の話に、大きな声が出る。
なにか要望を言ってくるならともかく、まさか勝手に行動を起こしているとは思いもしなかった。
「だって、そんなの必要ないじゃない。それに、なんでそこまで口をだすの?」
兄を問い詰めるのはお門違いだ。そうわかってはいても、言わずにはいられなかった。
『まあ、そうだが。貴美子さんとしては、うちの店をよりよくなるように考えてくれたのだろう』
まるでお母様の厚意であるかのように言うけれど、勝手な押し付けにすぎない。そんなありがた迷惑な話に、兄だって喜ぶはずがない。
それにお店をよくするのではなく、お母様はより自分好みのレストランに変えたいだけのように感じる。
普段なら和也さんが目を光らせて彼女の暴走を抑えてくれているが、しばらく不在にしている今はそれも効いていない。
お父様との関係もすっかり冷えきっていると聞くし、彼女を止められる人はいないのだろうか。
このまま、なにも言われなければいいけれど。
そんなふうに願っていたが、水曜日になった今日。仕事から帰宅した私に、兄から電話がかかってきた。
『疲れているところに悪いな。一応、紗季の耳にも入れておこうと思って』
よくない話だと、これだけの言葉で嫌というほど伝わってくる。
タイミングからしてお母様に関する話なのだろうと想像がつき、内心でため息をついた。
『実は、先日来店してくれた貴美子さんだが』
早々に告げられた名前に、やっぱりそうかと顔をしかめる。
『うちのレストランに、自分のお気に入りのパティシエを起用するように動いていたんだ』
「なんですって⁉」
さすがに想定外の話に、大きな声が出る。
なにか要望を言ってくるならともかく、まさか勝手に行動を起こしているとは思いもしなかった。
「だって、そんなの必要ないじゃない。それに、なんでそこまで口をだすの?」
兄を問い詰めるのはお門違いだ。そうわかってはいても、言わずにはいられなかった。
『まあ、そうだが。貴美子さんとしては、うちの店をよりよくなるように考えてくれたのだろう』
まるでお母様の厚意であるかのように言うけれど、勝手な押し付けにすぎない。そんなありがた迷惑な話に、兄だって喜ぶはずがない。
それにお店をよくするのではなく、お母様はより自分好みのレストランに変えたいだけのように感じる。
普段なら和也さんが目を光らせて彼女の暴走を抑えてくれているが、しばらく不在にしている今はそれも効いていない。
お父様との関係もすっかり冷えきっていると聞くし、彼女を止められる人はいないのだろうか。