だって結婚に愛はなかったと聞いたので!~離婚宣言したら旦那様の溺愛が炸裂して!?~
「私のせいで……本当にごめんなさい」
初めて顔を合わせたときから、お母様と上手く付き合うのは難しいだろうと予感はしていた。
でもそれは私と彼女の間の話であって、まさか兄の事業にまで影響が及ぶとは思っていなかった。
もしかしたら今後は両親の事業にまで口をだされるかもしれないと、不安が大きくなる。聞く義理はないとはいえ、今回の兄のように手を煩わせることになるだろう。
悔しさと申し訳なさで、気持ちはぐちゃぐちゃだ。スマホを握る手に、無意識に力を込めていた。
『紗季のせいだなんて、少しも思っていないからな。さっきも言ったろ? 俺に紗季を責めるつもりはないと』
「でも」
『店のスタッフも、そこは理解している。ただ、俺としてはこの件で紗季が貴美子さんに責められたり、嫁ぎ先で肩身の狭い思いをさせたりしたくないんだ。貴美子さんには無理だと、穏便に話して理解してもらったつもりだが、本当のところはどう思っているかまではわからないから』
兄はレストランのことだけでなく、父の補佐もしているため多忙の身だ。私がお母様に言われるまま予約を取りつけてもらったばかりに、手間をかけたどころかこんな事態を招いてしまって後悔する。
『俺が至らないせいで、貴美子さんが紗季になにか言うようなことがあったらすまない。そのあたりは、申し訳ないが和也さんとも相談してほしい』
「そんな。兄さんはなにも悪くないから」
そう慌てて否定する。
「実は和也さんは先週から出張に出ていて、帰ってくるのは月曜日なの」
彼がこの事態を知ったらどうするだろうか。私の味方になってくれると確信はしているけれど、自分の母親の言動に和也さんだって複雑な気持ちになるだろう。
『そうか。和也さんがいない間になにかあったときは、いつでも俺を頼っていいからな』
「ありがとう、兄さん。本当にごめんね」
初めて顔を合わせたときから、お母様と上手く付き合うのは難しいだろうと予感はしていた。
でもそれは私と彼女の間の話であって、まさか兄の事業にまで影響が及ぶとは思っていなかった。
もしかしたら今後は両親の事業にまで口をだされるかもしれないと、不安が大きくなる。聞く義理はないとはいえ、今回の兄のように手を煩わせることになるだろう。
悔しさと申し訳なさで、気持ちはぐちゃぐちゃだ。スマホを握る手に、無意識に力を込めていた。
『紗季のせいだなんて、少しも思っていないからな。さっきも言ったろ? 俺に紗季を責めるつもりはないと』
「でも」
『店のスタッフも、そこは理解している。ただ、俺としてはこの件で紗季が貴美子さんに責められたり、嫁ぎ先で肩身の狭い思いをさせたりしたくないんだ。貴美子さんには無理だと、穏便に話して理解してもらったつもりだが、本当のところはどう思っているかまではわからないから』
兄はレストランのことだけでなく、父の補佐もしているため多忙の身だ。私がお母様に言われるまま予約を取りつけてもらったばかりに、手間をかけたどころかこんな事態を招いてしまって後悔する。
『俺が至らないせいで、貴美子さんが紗季になにか言うようなことがあったらすまない。そのあたりは、申し訳ないが和也さんとも相談してほしい』
「そんな。兄さんはなにも悪くないから」
そう慌てて否定する。
「実は和也さんは先週から出張に出ていて、帰ってくるのは月曜日なの」
彼がこの事態を知ったらどうするだろうか。私の味方になってくれると確信はしているけれど、自分の母親の言動に和也さんだって複雑な気持ちになるだろう。
『そうか。和也さんがいない間になにかあったときは、いつでも俺を頼っていいからな』
「ありがとう、兄さん。本当にごめんね」