だって結婚に愛はなかったと聞いたので!~離婚宣言したら旦那様の溺愛が炸裂して!?~
 入浴をしていた間に、和也さんからメッセージが届いていた。

【そっちは変わりないか?】

 なにを返したらいいのか迷ったのはほんの一瞬で、すぐに彼を安心させる文面を返信する。

【お疲れさま。こっちはいつも通り。体調も、もうまったく心配ないから】

 週明けには、和也さんが帰ってくる。そのときは、あなたを信じていると私の想いを伝えたい。
 そう心を決めていたけれど、今回のお母様の振る舞いを知って、本当に気持ちだけで関係を続けてもいいのかと不安が拭えない。

「ううん、きっと大丈夫」

 お母様が自分本位なところのある人だと、結婚する前からわかっていた。
 彼女に結婚を認めてもらえた後のこと。お母様は、平日の友人とのランチ会に私も参加するよう強要した。いずれ息子の嫁になるのだと、私紹介したいというのが理由だ。

 さすがにそれで仕事は休めない。でも私がやんわりと断っても理解はしてもらえず、代わりに和也さんが無理だと説得してくれた。

 そういう小さなトラブルが何回かあり、和也さんはそのたびに前面に立って庇ってくれた。

 しばらくすると、お母様から直接私に無理難題を押しつけられることはなくなっていった。おそらく私の知らないところでも、和也さんはお母様を止めてくれていたのだろう。

 考え事をしているうちにスマホの着信音が鳴り、小さく驚く。

「も、もしもし」
『紗季。今、大丈夫か?』

 かけてきたのは和也さんで、もちろんだと応じる。

『紗季も忙しいだろうが、無理はしていないか? あれほど高熱が出ていたんだから、心配だ。しっかり体を休めないとだめだぞ』

 いつになく過保護な様子に、内心で苦笑する。
 でも彼が出発前に見た私は、ようやく元気を取り戻しつつある病み上がりの姿だった。だから、過剰に心配になるのも仕方がないだろう。逆の立場だったら、私だって同じ気持ちになる。
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