だって結婚に愛はなかったと聞いたので!~離婚宣言したら旦那様の溺愛が炸裂して!?~
「熱もぶり返していないし、もうすっかりいつも通り。心配いらないから」

 ことさら明るい口調を心がけて言う。

『それならいいが……。なにかあったら、すぐに言うんだぞ』

 離れていても常に私を気にかけてくれる彼のおかげで、荒んでいた心が少しずつ浮上する。
 そんな和也さんに、私も応えたい。彼とは対等な立場でいたいから、頼るばかりじゃなくて自分の力で向き合いたい。

 お母様の話は、さらになにかがあればまずは自分で対応する。義理の関係で遠慮があるのも確かだが、逃げてばかりではいけない。こちらにも聞き流せない話もあるのだと、私自身がはっきり示していこうと決意した。

「ありがとう。そう言ってくれると心強い」
『はあ……早く紗季に会いたい』

 スマホ越しに届く彼の熱い吐息に、体が小さく震える。

「和也さん……」

 私だって、同じ気持ちだ。

 少し前まで彼を疑って、離婚まで切りだしたなんて自分でも信じられない。機械越しとは言え、声を聞いてしまえば本人に会いたくてたまらなくなる。

『できるだけ早く仕事を片づけて、さっさと帰るから』
「うん。和也さんの帰宅を、待ってる」

 無意識に、甘えるような声にな。誰にも見られていないというのに、羞恥心に襲われて頬が熱くなった。

『紗季も忙しいだろうが、無理しないようにな』 

 和也さんは、最後に私を労わる言葉を残して通話を切った。
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