だって結婚に愛はなかったと聞いたので!~離婚宣言したら旦那様の溺愛が炸裂して!?~
「おば様。この感じだと、平日は紗季さんも料理をされていないんじゃないかしら? もしかして、和也さんの夕食はいつも外食か出来合いのものだったりして」
「まあ、なんですって」

 横宮さんが訳知り顔で言えば、お母様は不快感をあらわにした。

 私が作って当たり前だという言い方に思うところはあるし、満足にできていないのも事実だから反論はしづらい。

 ただ、私たち夫婦は今の状態に納得している。部外者と言えばきつく聞こえるかもしれないが、ふたりにとやかく言われたくはなかった。

 ジロリと私を睨むお母様に怯みそうになる。でもなにも悪いことはしていないのだからと、ぐっと堪えて目を合わせた。

「お互いに仕事をしているので、そういう日があるのも事実です」
「実家が飲食業だというのに、息子に食事も満足に用意できないなんて」

 お母様が忌々しげに言う。レストランの件で兄に拒否されたのもあり、私に対しても悪感情を強めているのだろう。
 家業とは関係ないと不快になるが、顔に出ないように気をつける。

 お母様は私が働くことを決して非難しないものの、和也さんのサポートを完ぺきにこなせないのは気に食わないのだろう。共働きだなんて言う理由は、彼女にとっては言い訳に過ぎないのだ。

 とはいえ彼の実家では家政婦を雇っており、料理や掃除はもちろんのこと、お母様は家事全般を任せきりなのは知っている。

 その矛盾を指摘すれば相手を激高させるだけだと、口をつぐんだ。家事を代行してくれる業者の手配をしていない私が悪いのだとでも思われているのかもしれない。
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