だって結婚に愛はなかったと聞いたので!~離婚宣言したら旦那様の溺愛が炸裂して!?~
「こちらが下手に出ていれば。ずいぶんな言いようですね、紗季さん」

 お母様までもがもう我慢ならないといった様子で、テーブルをバンっと叩いて立ち上がる。
 相手を怒らせない、上手い言い方があったかもしれない。

 でも私だって必死だし、言われたことに腹も立つ。
 それに、どうしても和也さんとの生活を守りたいから、聞き役に回るばかりではいられなかった。

「結論は変わりませんよ。和也と別れて、さっさと出て行きなさい」

 パッと玄関の方を指さしたお母様の言葉には、絶対に応じない。
 ふたりに合わせて、私も立ち上がる。

「和也さんの意思を確認してもいないのに、承諾できるはずがありません」

 裏切られた、仕事に利用されたと勘違いしても、どうしたって彼を嫌いになれなかった。
 疑心暗鬼になる中、彼への好意が消えてくれないことが苦しくてたまらなかった。

 今は誤解が解けてふたりの関係が修復できそうだとはいえ、お母様の性格を考えたら今後もこうして不当に追い詰められる機会がないとは言えない。

 夫婦を続けても別れたとしても、どちらにしても苦しさはある。
 それなら私は、和也さんと一緒に歩む未来を選びたい。困難にぶつかってもふたりで乗り越えていけばいいのだと、彼を信頼しているから前を向ける。

 揺るがない気持ちで、ふたりを見すえた。

「あなたたちの言葉には、絶対に従えません」
「許せない」

 私に近づいた横宮さんが、腕を大きく振り上げる。
 でも、それを無視して続けた。

「私は和也さんを愛しいてるんです。だから、絶対に別れません」

 避けなければと思いながら、私を叩いて気が済むのならそれでもいいのかもしれなと考えてしまい反応が送れる。
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