だって結婚に愛はなかったと聞いたので!~離婚宣言したら旦那様の溺愛が炸裂して!?~
「それにしても、桐島と横宮の百貨店が提携を結ぶなど、どこから出てきた話なんだろうな。俺も初めて聞いたが、ずいぶんと好き勝手語ってくれたな」

 和也さんは、この部屋に飛び込んでくるより少し前から彼女たちのやりとりを聞いていたようだ。そう思って見上げると、肯定するように小さくうなずき返された。

 さっきまで嬉々として私を責めていたふたりは、顔を青くして言葉を詰まらせている。

「で、でもね、和也。あなただって、仲の良い莉緒ちゃんとの方がきっと結婚生活も上手くいくわよ」
「余計なお世話だな。何度も言ってきたが、妹以上には見られない。今ではそれも無理だがな。俺が愛しているのは、紗季だけだ」
「……どうしてよ。ずっと、ずっと好きだったのに」

 横宮さんの絞り出すような声に胸が絞めつけられる。彼女が和也さんを本気で好きだったのは、これまでの言動から感じ取っていた。

「仕方がないんだ。人の気持ちは、自分の思うようには縛れない」

 私の背に添えられている彼の手がピクリと動いたのは、離婚を切り出したときのことを思い出したからだろうか。

「君が不当に紗季を追い詰めたのは、許すつもりはない。今後は、二度と俺に顔を見せるな」

 和也さんの強い拒絶に、横宮さんがひゅっと息をのむ。

「それから、母さん。百貨店の話だけでなく、紘一君のレストランについても、ずいぶん好き勝手してくれたみたいだな」
「好き勝手って、私は良かれと思って」

「そういうのを、余計なお世話だと言うんだ。偶然縁づいただけの、ただの客にすぎないあなたに口を挟む権利なんてあるわけないだろ。周りにどれだけ迷惑をかけたと思っているんだ。なあ、父さん」

 和也さんの視線が、リビングの入口に向けられる。

「なっ」

 振り返ったお母様と横宮さんが、そろって驚きの声をあげた。

「あなた……」
「パパ……ママも」

 そこに立っていたのは、和也さんのお父様と、横宮さんのご両親だった。
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