だって結婚に愛はなかったと聞いたので!~離婚宣言したら旦那様の溺愛が炸裂して!?~
「和也君。娘が迷惑をかけて、本当にすまない」

 横宮さんの横に立ったご両親が、そろって頭を下げる。同時に、彼女の頭も無理に下げさせた。

「私がいけなかったんです。貴美子さんにはずいぶんよくしてもらって……その、だんだん逆らえないような関係になってしまったの。和也君が莉緒を妹のように思ってくれているとわかっていたのに、お見合いをさせるのも止められなくて。本当にごめんなさい」

 母親同士の仲がいいと言うのは上辺だけの話で、そこには主従関係が出来上がっていたのが察せられる。

「母の振る舞いにも問題があったはずです。あなた方を責めるつもりありません。ですが、娘さんが二度と私たちに近づかないように、今後はきちんとした監視をお願いしたい」
「もちろんです。本当に申し訳なかった。後日、あらためて謝罪をさせてください。ほら、莉緒。行くぞ」

 横宮さんはわずかな抵抗を見せているが、両親に引きずられるようにしながら部屋を後にした。

 三人が玄関を出ていくのを見届けた後に、リビングで和也さんとそろってご両親と向き合った。

「和也、それに紗季さん。貴美子が勝手をして、すまなかった」

 真っ先に声を発したのはお父様だ。
 深く頭を下げる姿に、お父様にはなにもされていないと慌てる。

「あなた。勝手って、私はただ……」
「貴美子は、さらに息子夫婦に迷惑をかけるつもりか?」

 怒りを孕んだお父様の口調に、さすがにお母様も口をつぐむ。

「紗季さんを選んだのは、和也自身なんだぞ。その彼女を、ふたりがかりで理不尽に責め立てて。お前はそれで楽しかったのか? まして、仕事がらみのことまで引っ掻き回して」

 お母様はうつむいているが、唇をぐっと噛みしめて悔しそうな様子が見て取れる。反省をしているようには見えないのがお父さんにも伝わり、彼は大きなため息をついた。
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