だって結婚に愛はなかったと聞いたので!~離婚宣言したら旦那様の溺愛が炸裂して!?~
 それから一転して、お父様は弱りきった顔で私たちを見た。

「妻が、本当に申し訳なかった。貴美子も、ふたりに謝るんだ」
「……ごめんなさいね」

 お父様に厳しい顔で促されて、渋々お母様が謝罪する。
 妻の態度にさらになにか言いたそうな顔を見せたお父様を、和也さんが視線で制した。

「母さんには今後、俺たちに関わらないでもらいたい。今までわずかなりに関係を保っていたのは、俺の家族と上手くやっていきたいという紗季の気持ちを汲んだからだ。そうでなければ、俺はさっさと縁を切っていた」
「そんな、和也……」
「お前はそれだけのことをしてきたんだ。きちんと反省しなさい」

 お母様は明らかに納得していないようだが、この場に味方がいないと気づいて渋々うなずく。

「ふたりとも、本当にすまなかった」

 再び頭を下げたお父様は、それからお母様を連れて帰っていった。

「はあ……」

 和也さんとふたりだけになり、肩の力が抜ける。

「紗季」

 けれど肝心の彼との話がまだだったのは、もちろん忘れていない。

「母さんたちが、本当にすまなかった」

 ソファーに座り直し、あらためて彼と向き合う。

「もうご本人にからも謝罪を受けたし、大丈夫」
「いや。俺が許せないんだ。なにかするかもしれないと警戒はしていたが、止めきれなかった。本当に、ごめん」
「和也さんはさっき、私を守ってくれたじゃない」

 私がいくら大丈夫だと言っても、彼は納得しない。

「和也さんは悪くないから」

 そう言った私に、彼は悲痛な表情を浮かべた。

「今回のことで、父さんも母さんにしっかり言い聞かせるだろうし、なんらかの対応を取るはずだ。もちろん俺からも、二度と接触してこないように重ねて要求する」

 和也さんとしても、なにかしないと気持ちが治まらないのだろう。正直なところ、私もお母様と上手くやっていく自信はもうない。
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