だって結婚に愛はなかったと聞いたので!~離婚宣言したら旦那様の溺愛が炸裂して!?~
「厄介な身内がいては、紗季も気が休まらないだろう」
「え?」

 まさか彼は、それを理由に別れを切りだそうとしているのだろうか。

 胸もとで握りしめる。嫌な予感に、指先が震えていた。

 お母様と相容れない私に、和也さんも疲れてしまったのか。
 さっき私に愛していると言ってくれたのは、お母様や横宮さんを牽制する方便だったのかもしれない。

「それでは紗季に申し訳ない」

 もう和也さんの方を見られず、うつむいて唇を噛みしめた。
 うつむきながら、別れるなんて言わないでと祈る。

 私が離婚を切り出したとき、彼もこんなふうに苦しかったのだろうか。自分はどれだけ和也さんを傷つけたのかと、もう何度目かの後悔に襲われる。

「けれど、どうしても紗季を手放せない」

 すっかり心細くなっていたところで、隣からふわりと抱きしめられる。

「愛してるんだ」
「和也、さん……」
「これからも全力で紗季を守ると誓う。だから」

 私に回された彼の腕に自身の手を重ねながら彼を見る。

「ずっと、俺の傍にいてほしい」

 じわりと滲んだ涙はすぐに雫となり、頬を幾筋も伝っていく。

「私も、あなたと一緒にいたい」

 唇は震え、それ以上言葉にならない。
 伝え足りない想いを吐き出すように何度も大きくうなずき、彼を抱きしめ返した。
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