だって結婚に愛はなかったと聞いたので!~離婚宣言したら旦那様の溺愛が炸裂して!?~
「もっと尽くしてくれる人の方が和也さんにふさわしいんじゃないか、なんて考えたら怖くなって」
「俺は紗季がいい。紗季以外はいらないから」

 それはもう十分に伝わっていると、こくこくうなずく。

「あなたを誰にも譲りたくないの」
「紗季」

 苦しいほどきつく抱きしめられる。

「ずっと、紗季に触れたかった」

 ストレートな告白に、全身が熱くなる。

「私も、触れてほしかった」

 恥ずかしくて顔を上げられない。
 でも今ばかりは和也さんに甘えたくて、彼の胸もとに額をぐりぐりと押しつけた。

 立ち上がった和也さんは、私を横抱きにして寝室に向かう。
 ベッドにたどり着き、その上にそっと降ろされた。

 再び見つめ合いながら、どちらともなく唇を寄せる。
 軽く触れて顔を離し、お互いに笑みを浮かべた。

 啄むような口づけを繰り返し、彼が私の唇を食んだ。それを合図に唇を開くと、隙間から熱い舌がそろりと入ってくる。
 私のすべてに触れたいとでもいうように、彼の舌が口内を余すことなく弄る。
 息苦しさを感じながら、それでもやめてほしくなくて必死についていく。
 ゆっくりと舌を絡ませ合いながら、和也さんが私の服に手をかけた。

 待ちきれなくて、思わず自分からブラウスのボタンに手をかける。すると和也さんが、私の腕をパシリと掴んだ。

「俺がやるから」

 妖艶な笑みを見せられて、鼓動が一層速くなる。
 色気に当てられてピキリと固まった私を、和也さんがくすりと笑う。そして、その隙に服を脱がせていった。

「紗季」

 私を優しく押し倒した和也さんが、顔を首筋に埋めながら切なげに名前を呼ぶ。それだけでたまらない気持ちになり、彼の頭を優しく抱きしめた。

「ごめんなさい、和也さん」

 勘違いをして、彼をいっぱい傷つけた。
 あのときは私も真剣に悩んで出した結論だったけれど、こうして誤解が解ければただただ彼に申し訳ないことをしたと後悔している。
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