だって結婚に愛はなかったと聞いたので!~離婚宣言したら旦那様の溺愛が炸裂して!?~
 胸もとから、和也さんが上目遣いに私を見る。

「謝罪はもういらない。それより、今は紗季を存分に愛させて」

 唇を合わせた彼は、それから手で胸もとを愛撫しながら至る所に口づけていく。
 鎖骨にチクリと感じた小さな痛みは、キスマークをつけているのだろう。今まではあまりされていなかったが、これも彼が我慢していたことのひとつかもしれない。

 そろっと彼を見る。それに気づいて顔を上げた和也さんと目が合った。

「服に隠れるところだけにするから」

 にこりと微笑まれたら、拒否はできない。
 ううん。もともと止めるつもりはなかった。

「私は和也さんのものだって、言ってくれているみたい」

 夢心地に、思ったままを口にする。

 一瞬動きを止めた和也さんは、突然貪るように深く口づけてきた。

「んん……」

 息苦しくても幸せに感じてしまう。

「……はあ」

 大きく息を吐きだした和也さんが、雑に前髪かき上げた。

「優しくしたいのに煽らないでくれ。紗季はもうとっくに俺のものだ」

 剥き出しの独占欲に、胸が満たされていく。
 でも、もっと強く求められたい。さらに愛してほしい。今なら、そんな貪欲な気持ちも素直に曝け出せそうだ。

「和也さんも、私のものだから」

 虚を突かれた顔をした和也さんは、それから破顔した。

「あたりまえだ」

 頭を優しく撫でられ、額に口づけられる。彼の唇は、頬を掠めながら首筋を辿っていった。
 胸もとに、さらにいくつものキスマークが付けられているのを感じる。それがうれしくてたまらず、口もとが緩んだ。

 けれど、そんな余裕はすぐになくなっていく。
 胸を包み込んだ彼の指が、その先端に触れる。

「はぅ……」

 体がピクリと跳ねて、熱い吐息を漏らした。
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