だって結婚に愛はなかったと聞いたので!~離婚宣言したら旦那様の溺愛が炸裂して!?~
 それから話題は、私たちの新婚生活へと移っていく。

「紗季の料理は、どれも本当に美味しいんだ」

 外では見せない蕩けた顔で、和也さんが惚気る。

「そんなに大したものを作ってないじゃない。それに、和也さんだって料理は得意でしょ」

 身内の前で恥ずかしいと、両手で頬を覆う。

「仕事のときはきりっとしている紗季の、休日に見せる隙だらけの姿がかわいくて」
「妹夫婦が幸せそうでよかったよ」

 兄が苦笑いしながら返す。

「それで、新婚旅行はどこへ行くんだ?」

 これ以上は聞いていられないとでもいうように、兄が話題を変えた。

「前にね、和也さんが突然プライベートジェットをチャーターして韓国まで連れて行ってくれたの。こんな贅沢な旅なんだからきっと新婚旅行の代わりだろうって思ってたのに、和也さんったら別だって言うからびっくりしちゃった」

「あたりまえだろ。最低でも十日は休みを取って、紗季とふたりでゆっくりしたいな。フランスかイタリア辺りで、紗季の仕事の参考になりそうなブティックを回ってくるのもいいし」

 プライベートな旅行に仕事を持ち込むのは申し訳ないと思いつつ、やっぱり好奇心に負けて表情が緩む。

「紗季の希望は、すべて叶えてやりたいんだ」

 自分から尋ねたはずの兄は、またこういう流れかと半ばあきれている。
 デザートで機嫌を直していた美紅も、再び仏頂面だ。

「こういう好奇心で目を輝かせる紗季が、かわいくて仕方がない」

 あろうことか、和也さんはふたりの前で私の頭をなでた。

「もう! お義兄さんったら、お姉ちゃんに甘すぎ」

 ついに声をあげた美紅に、和也さんは眉を下げた。

「すまない。俺は紗季を誰よりも愛しているから」

 下手に出たように見せかけて、和也さんはだから仕方がないだろ?と、言外に語る。その少し不遜な態度がらしくなくて、おやっと首を傾げた。
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