だって結婚に愛はなかったと聞いたので!~離婚宣言したら旦那様の溺愛が炸裂して!?~
「結婚すると、子どもの問題に必ずぶつかるのよね。妊娠や出産、子育てが職場で迷惑になるんじゃないかって、不安になる人もいるだろうし」

 藤堂さんの言葉に、全員がうなずいている。

「でもね、私は決めてるの。私に任されたこのチーム内だけは、結婚も妊娠も手放しでお祝いしようって。誰かが大変なときは、できる人たちで助け合っていけばいいじゃない。なにかを躊躇するのに、仕事を理由にしてほしくないから」

 藤堂さんの頼もしい言葉に、小さな拍手が起こる。

「だからね、なにも気に病んだりする必要はないわ」

 暗くなりかけていたこの場も、彼女のおかげで明るくなる。

 それから話題は、来期の流行色や最近はやりのドラマなど次々に移り変わっていく。

 同僚らの会話に対して、私はちゃんと笑えていただろうか。
 和也さんの疑惑について気づかないふりでいればいいと自分に言い聞かせてきたけれど、それが日に日に私の心を蝕んでいっている。
 この場の会話になんとか応じてはいたものの、心にのしかかる大きな焦りや不安に余裕はまったくなくなっていた。






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