だって結婚に愛はなかったと聞いたので!~離婚宣言したら旦那様の溺愛が炸裂して!?~
 私が希望した通り、和也さんはたくさんの屋台が立ち並ぶエリアに連れて行ってくれた。

「どうしよう。どれも美味しそう」

 活気に心が躍り、芳ばしい匂いに空腹が刺激される。どれもこれもあまりにも魅力的で、あちこち目移りした。

「俺と半分ずつに分ければ、多く食べられるだろ」

 楽しもうと決めてきたからには、彼の提案にももちろん賛成だ。

 気の向くまま、定番のトッポギにチヂミを注文する。それから餃子に似たマンドゥや、港町ならではの海鮮の揚げ物も美味しそうで、半分にするなら食べられるだろうと次々と買い求めた。

 地元の人と思われる客も入り混じり、賑やかな中で食事をする。雑多な空気感も、私は嫌いじゃない。
 そういえば、和也さんとこういう雰囲気の場に来るのはあまりなかったかもしれない。決して高級店ばかりに行っていたわけじゃないけれど、彼との外食は落ち着いてゆったりとできるところへ行くことがほとんどだった。

「和也さんは、賑やかな場所は平気?」

 そう言いながら、周囲にざっと視線を走らせる。

「ああ。活気あって、いいと思う。それに、紗季と一緒なら、どこでもかまわない」

 まさかそんな言葉が返ってくるとは思わず、うっと言葉に詰まる。

「紗季の楽しそうな顔を見るのが好きなんだ。こうして出かけている時もそうだが、仕事や自分の好きなものについて語っているときの紗季は生き生きとしている。本当に魅力的だ」

 こんな賛辞が返ってくるとは思わず、顔が熱くなる。

「もちろん、ソファーでくつろいでいる姿も、テレビに釘づけになっているところもかわいい」

 話がまったく変わっている。
 それに、いま彼が言った私の姿は単にだらっとしているだけで、決して惹かれる要素はない。
 なんだか思わぬ反撃にあった気分だ。うれしさと恥ずかしさがないまぜになって、反応に困る。

「……そ、そう」

 なんとかそう返した私に、和也さんはうなずきながら穏やかな笑みを浮かべた。
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