だって結婚に愛はなかったと聞いたので!~離婚宣言したら旦那様の溺愛が炸裂して!?~
 軽く街並みを散策した後に連れて行ってくれたのは、これをお目当てに海外からも人がやって来るという高級エステ店だった。

「いつもがんばっている紗季へ。俺からのプレゼントだ」

 入口の前で立ち止まり、和也さんが宣言する。
 美容大国と言われる韓国ならではのプランに、胸が弾む。こんな贅沢な体験できるなんて夢のようだ。

「でも、和也さんは時間を持て余してしまわない?」
「紗季が今以上に綺麗になって戻ってくるまで待ち時間は、俺にとってのご褒美だな」
「もう」

 照れ隠しに、彼の腕を軽く小突いた。

 落ち着いた雰囲気の店内には、ほんのりとアロマの香りが漂っている。付き添いが待てるスペースも充実しているようでほっとした。
 受付を済ませると、すぐに個室に通される。和也さんが事前に手配しておいてくれたおかげで、カウンセリングは日本語で受けられた。

 選んだのは、フェイシャルエステのコースだ。
 ベッドに横になり、いよいよ施術が始まる。

 ここよい香りと静かなヒーリングミュージックに、緊張はすぐに解れた。
 マッサージがとにかく気持ちよくて、日ごろの疲れも一気に吹き飛ぶ。お腹が満たされていたのもあり、すぐにうとうとしていた。

 肩を優しく叩かれて、ハッとした頃にはここへ来て二時間近くが経っていた。

「すごい! つやつやになってる」

 鏡の前に座り、角度を変えながら肌を確認する。
 ここのところ多忙で疲れが滲みがちだった肌は、施術で張りを取り戻していた。
 そのままメイクもしてもらい、入店したときとは明らかに違う素敵な仕上がりに気分が上がる。

 すべての工程を終えて、ドキドキしながら和也さんのもとへ向かった。
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