だって結婚に愛はなかったと聞いたので!~離婚宣言したら旦那様の溺愛が炸裂して!?~
 エステを終えてお店の外に出ると、なぜか私以上に和也さんが上機嫌になっていた。

「次は洋服だな」

 そう言いながら向かったのは、最近話題だというセレクトショップだった。
 詳細を聞かないまま連れ出されたため、宿泊の用意はなにもできていない。それを口実にショッピングに繰り出したのは、おそらく和也さんの計画のうちだったのだろう。

「素敵……」

 内装は少しくすんだベビーブルーでまとめられて、かわいらしいのに落ち着いた印象だ。ハンガーやちょっとしたインテリアはクラシカルなデザインが採用されており、店内の一角に置かれた揺り椅子には大きなテディーベアが飾られている。まるでオシャレな雑貨屋のようだ。

 けれど扱っているのは、オフィスカジュアルとしても使えるシックな洋服らしい。内装とはまるで対称的だが、不思議と違和感はなかった。

 思うまま、商品に近づく。
 壁際のハンガーにかけられている何着もの白いブラウスに触れて、そのデザインをつぶさに見つめた。

 手に取ってみると、どれも少しずつデザインが違うのがわかる。同じ〝白〟といっても、クリームがかったものや、若干グレーの入ったものもある。
 襟の形にポケットの有無。使われているボタンのデザインやサイズもそれぞれだ。どれもちょっとしたオシャレが隠れていておもしろい。

 その隣には、ブラックのパンツばかりがかけられたハンガーが続き、さらにその向こうはネイビーのパンツが続く。こちらも素材や丈、バックポケットの形などにこだわって作られたものばかりだ。

 店内のすべての商品が一点物だという。ほかにも、ジャケットや鞄などがディスプレイされていた。
< 81 / 141 >

この作品をシェア

pagetop