だって結婚に愛はなかったと聞いたので!~離婚宣言したら旦那様の溺愛が炸裂して!?~
 会社に着いた途端に、同僚たちがもう大丈夫かと声をかけてくれる。
 席に着くと、同じチームのメンバーが数人デスクに近づいてきた。

「出てきた早々にごめんね。私、これから外に行くから今のうちに伝えておくけど、足立(あだち)商事の件は早い方がいいと思って、私の方から代理で連絡を取っておいたから」

「ありがとうございます」

 詳細を記したメモを受け取る。

「桐島さん、こっちもいい? このサンプルなんだけど、奥寺さんがずいぶん気に入ったようなの。この布に合うデザインを今週末には上げるって言われているから、どれだけ確保できそうかの確認と値段の交渉をお願い」

「この生地、色合いが本当にいいし肌触りもいいんですよね。今日中に、業者に問い合わせておきます」

 私が休んだ分は、同僚らが必要なフォローを入れてくれていた。それもこれも、リーダーである藤堂さんが最初にそういう空気を作りだしてくれたからだ。

 仲間の協力に感謝しながら、早速仕事を始める。
 休み明けなのもあってとにかく忙しいが、ふと手が空いた拍子に和也さんは今頃どの辺りでなにをしているのだろうかと考えてしまう。

 彼もがんばっているのだから、私だって和也さんに恥じない仕事をしないと。そう気持ちを奮い立たせていた。
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