迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「橙吾が今も消防士でいられるのは、両親との約束があるからです」

「約束?」

 席にオムライスとハーブティーが運ばれてきて話が一時中断する。こんなに美味しそうなのに、明るい気持ちで食事はできなさそうだ。

「どうぞ食べてください」

 オムライスを手のひらで指し示した山科さんは、自身のハーブティーを口に運んだ。

 仕草のひとつひとつが優雅で育ちのよさがうかがえる。御曹司の橙吾さんと幼馴染というからには、彼女も大手企業の社長令嬢とか、そういった立場なのかもしれない。

「消防大学校に通い、消防士として働く条件として、将来会社に利益をもたらす、親の決めた相手と結婚することを提示されました。そして橙吾はそれを呑んでいます」

 咀嚼しているものの味が感じられないほどの動揺が走る。

 じゃあ、どうして私と付き合っているの……?

 意志とは関係なく手が小刻みに震えてスプーンを皿に戻す。
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