迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
 六キロを持ち続けることができずにキャスターがついたキャリーカートを買ったが、振動や音がムウに伝わって可哀想だとは思っていた。

 商品を検索するためスマートフォンを操作していると、視界の隅に男性の靴が入り込み、距離の近さに違和感を抱いて顔を上げた。

 男性と目が合い、ふたりの間だけ時が止まったかのような空気が流れる。

「ケーキ屋の……」

 遠慮がちに尋ねてきた男性に、こくこくと首を上下に振って囁き声で返事をする。

「そうです。昨日の方ですよね?」

「はい」

 会話をしている人はほとんどおらず、テレビモニターから流れてくる音声だけが響いているから喋りづらい。

 男性が丁寧な所作で床に下ろしたキャリーバッグを覗き込むと、白とグレーの毛並みで、小さな耳はぺたんと折れ曲がっている愛らし
い子がいた。

「スコティッシュフォールドですか? 可愛いですね」

 ブリーダーからたくさんの子たちを紹介されたので、猫の品種には詳しくなった。
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