迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
 嬉しそうにふわっと笑った男性がムウに視線を移す。

「その子は?」

「ラグドールです。知っていますか?」

「ああ、ラグドールか。やっぱり大きいな」

 ラグドールは雄だと十キロの子もいるような品種で、私は大きい子の方が存在感と安心感を得られるのでムウをパートナーにした。

 興味深そうにムウを観察している男性は、昨日も思ったが鼻が高くて横顔がとても綺麗だ。それに黒のハーフジップトレーナーにワイドパンツという今日の服装も、昨日に引き続きスマートに着こなしていて清潔感がある。

 私はファッションが好きなのでついこういう部分に目がいき、お洒落な人を眺めているだけで楽しい気持ちになれる。

 ニット系は猫の爪で引っ掻かれたら一発アウトだし、ちゃんと防御しているのだろう。

 私の熱視線に気づいたらしい男性が不思議そうに首を傾げたので、笑顔で誤魔化す。

 昔から外交的な性格だし、接客業のおかげで面識のない人とでも難なく話せる。でも彼はたぶん人見知りをするタイプかもしれない。目に見えない壁があるというか、緊張感が少し伝わってくる。

「六キロありますよ」

「すごいな。筋トレになりそうだ」

 その発想はなかった。大きな声は出せないので口に手をあててクスクスと笑っていると、「ムウちゃーん。小早川ムウちゃーん」と呼ばれた。

 返事をして立ち上がり、男性に会釈をして診察室に入る。
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