迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
 あれ。山科さんって自分のこと名前で呼んでいなかったよね。こっちが素なのかな。だとしたら体裁を気にしているんだろうけど、なんだかちぐはぐな人だな。

 本来ここにいるはずのないふたりがいることで、脳が現実逃避を始めている。

「桃花と子どもたちにかかわるな。お前には関係ない」

 口調は淡々としているが、僅かに苛立ちが含まれている。

 幼馴染は仲がいいって勝手な思い込みをしていたけれど、橙吾さんにとって山科さんの存在がどういったものなのかこの一瞬で理解できた。

「橙吾がここまで馬鹿だとは思っていなかった。こんな価値のない女を選んでどうするの? なんの利益もないじゃない」

 先ほどから暴言を浴びていたせいか、もうなにも感じなくなっている。ただ子どもには聞かせたくないので、抱き上げた桜子の耳もとに「お茶飲む?」と囁きかける。

 桜子が頷いたので、もう一度その場に下ろして水筒からお茶を飲ませた。

 紅汰はどうだろう。水筒を持って振ってみたが、こちらを一切見ていない。
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