迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
 紅汰だけなら抱っこして逃げられるけれど桜子がいる。ここで桜子の手を離して紅汰をフォローするのも先が読めなくて怖い。

「ちゃんと答えてくださいよ。無視するなんて、人としてどうかと思います」

 もう滅茶苦茶すぎる。こちらが反論しないのをいいことに言いたい放題だ。

 ふたりを抱えるしかないかと決意したときだった。

 道路の向こうから走ってきたSUV車が、私たちのすぐ目の前にハザードランプを点灯させて停止する。

 え、どうして。

 現れるはずのない人が車の運転席から下りてきて激しく混乱した。

「紅汰、おいで」

 橙吾さんは立ちすくんでいた紅汰を片手で軽々と抱き上げてから、私のつま先から頭のてっぺんまで視線を流す。

 なんだろうかと首を傾げたあと、そろりと山科さんを盗み見る。とくに驚いたり焦っている様子はなく堂々としていて、こちらの態度にも疑問を感じずにはいられない。

「怪我はないか」

「だいじょ――」

「奈緒が危害を加えるとでも思っているの? 相変わらずひどいなぁ橙吾は」

 私の声を遮った山科さんは、棘のある口調で橙吾さんに詰め寄った。
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