迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
橙吾さんは私と同じように怪我を負っていたにもかかわらず、取り乱すことなくずっと冷静でいた。
あの状況下で消防士へ情景の念を抱くような精神的な余裕からも、なるべくしてなったのだろうと頷かずにはいられない。
「怪我をしていたし、桃花さんがその後どうなったのか、ずっと気になっていた。だから昨日、一目見てすぐにあのときの女の子かもしれないって思ったんだ」
そんな……もう十二年経っているのに、私のことを覚えていて、心配までしてくれていたなんて。
当時から変わらず優しくて、他人を思いやれる人なのだろう。
「お世話になったのに、言われるまで気づかなくてすみませんでした。事故のとき、ずっと気にかけてくれて、ありがとうございました」
感謝と謝罪の両方を込めて深々とお辞儀をする。
「勝手に俺が想っていただけだから、気にしないでほしい。こうして再会できてよかった」
頭を上げると、橙吾さんが穏やかな表情をしていた。その微笑みに心臓が大きく鼓動を打つ。沈黙に胸がそわそわして、なにか言わなければと言葉を探していると、ムウがいつもより低い声で鳴いた。
「ごめん。窮屈だよね」
ムウに謝ると、今度はグリちゃんが訴えるような長めの声を出した。
どちらともなく顔を見合わせて笑う。
あの状況下で消防士へ情景の念を抱くような精神的な余裕からも、なるべくしてなったのだろうと頷かずにはいられない。
「怪我をしていたし、桃花さんがその後どうなったのか、ずっと気になっていた。だから昨日、一目見てすぐにあのときの女の子かもしれないって思ったんだ」
そんな……もう十二年経っているのに、私のことを覚えていて、心配までしてくれていたなんて。
当時から変わらず優しくて、他人を思いやれる人なのだろう。
「お世話になったのに、言われるまで気づかなくてすみませんでした。事故のとき、ずっと気にかけてくれて、ありがとうございました」
感謝と謝罪の両方を込めて深々とお辞儀をする。
「勝手に俺が想っていただけだから、気にしないでほしい。こうして再会できてよかった」
頭を上げると、橙吾さんが穏やかな表情をしていた。その微笑みに心臓が大きく鼓動を打つ。沈黙に胸がそわそわして、なにか言わなければと言葉を探していると、ムウがいつもより低い声で鳴いた。
「ごめん。窮屈だよね」
ムウに謝ると、今度はグリちゃんが訴えるような長めの声を出した。
どちらともなく顔を見合わせて笑う。