迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「送っていくよ」

「すぐそこなので大丈夫ですよ。橙吾さん、ずっと餌持っているし」

「こんなの持っているうちに入らない。訓練で日々鍛えているから、気にするな」

 最後に同じ台詞を使うと桃花さんは忍び笑いをした。

「ありがとうございます。それなら、甘えちゃおうかな」

 どこまで愛らしいのだろう。理性を保つのがこんなにも難しいなんて初めての経験だ。

 付き合うことになったあとも桃花さんの態度はまったく変わらず、心地いいゆったりとした口調で喋ってくれた。

 ポワッタビジューから歩いて五分と少しだったのでほとんど一緒にいられなかったが、送らせてもらえたことが信頼してもらえている証拠だと実感して胸が温かくなった。
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