迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
 キャットフードを手で触り、匂いを嗅いだけれど特に異常はなさそうだ。

「ムウ? どうしたの?」

 屈んだ私に身体をこすりつけているムウの額をそっと撫でると、瞳の周りが涙やけを起こしているのに気づいてはっとする。そこでムウがクシュっと音を立ててくしゃみをした。

 風邪をひいたのかもしれない。ここ数日で朝晩と冷えるようになったにもかかわらず寝具はまだ夏使用になっている。もちろんムウのものもそうで接触冷感マットを出したままだ。さすがにここで寝ているところは目にしていないが、引き取った頃からムウは私と一緒には寝ないし、暖の取れるものは必要だったはず。

「ごめんね」

 不幸中の幸いと言うべきかわからないけれど、明日はポワッタビジューの定休日なので、朝一番で動物病院に連れて行ける。

 ひとまずムウが温かく過ごせるようにクローゼットからブランケットを引っ張り出し、明日に備えて急いで身支度を整えた。

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