迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「そんなことないです。ありがとうございます」

「まだだいぶ先の話でね、これから店を建てるんだけど、向こうの店長をやってくれるなら、外装や内装、そのほか諸々についてももちゃんの意見を最大限に尊重できたらいいなと思ってる。コンセプトはこっちとの違いを少し出していくつもり」

 とんでもなく好待遇で、夢のような話にまだ現実味がなくぼんやりしてしまう。

「一応ずっと前から計画していたことなんだ。いずれここからひとり移動してもらおうと考えていたから、パティシエも余裕のある人数でやってきた」

 寝耳に水なので、そうだったのかと呆気に取られた。

 たしかに個人店にしてはパティシエが多い。かなり前から、二店舗目の計画を立てていたということか。

「違うコンセプトって、どんなふうにするんですか?」

「ここは東京駅から近く、お土産にも喜ばれる見栄えにもこだわった商品作りをしている。千葉県の店舗はどちらかというと住宅街よりで、ファミリー層の行動圏にある商業街なんだ。だから価格は抑えて、親しみやすいケーキ屋にしたい」

 素敵だ。すごくいいと思う。

 姉が結婚して仕事を辞めてからは余裕がなく、ケーキは贅沢品なのだと身にしみてわかったと話していた。

 だから姉の家に遊びに行くときは家でケーキを作って持って行くのだが、いつも甥っ子の奏汰くんを含めて大袈裟なくらいに喜んでもらえる。
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