迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
 雇われ店長とはいえ自分の店を持てるのだ。心が揺れないわけがない。ただ即答できないのは、今後の未来に大きく影響するとわかっているから。

 長年そばで店長の働きぶりを見ていたからこそ、店を守るために様々なものを犠牲にしている事実も知っている。

 ムウに留守番してもらう時間も増えるだろう。そして、橙吾さんとの時間は格段に減る。

 ……でも、千葉であれば橙吾さんのところへ通えない距離ではないし、彼の性格上応援はしても反対はしないはず。だから誰かに相談したところで、結局のところ決めるのは私だ。

 帰ってきた格好のままムウの前で動けずにぼんやりしていると、スマートフォンがポケットのなかで振動した。取り出すついでにダウンジャケットを脱ぐ。

 店を出るとき橙吾さんに今から帰るとメッセージを送っていたので、今から少し会えないかという返事だった。

 予定になく誘われるのは初めてだ。

 十九時半を過ぎたところなので、非番の橙吾さんは普段だったら夕食と風呂を済ませる頃。大丈夫だと返すと、十分ほどでうちのインターフォンが鳴った。
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