迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「ううん。そういうのじゃないよ、ありがとう。橙吾さんは時間大丈夫なの?」

「連休明けで、引き継ぎの確認作業をしっかりやっておきたいから、早めに出勤する。だから一時間くらいで帰るけど……」

 申し訳なさそうにする表情に母性がくすぐられ、胸が甘やかな想いに締めつけられる。

「ううん。すっごく嬉しい」

 いつも頑張っていて偉い。上から目線に感じられそうで、直接は言えないけれど日々そう思っている。

 とくに仮眠の時間帯に出動要請が入ったときは、まるっと一日起きていることになり、翌朝にメッセージなどで過酷だった状況を知って言葉にならないときもある。

 橙吾さんが頑張っているから自分も頑張りたいし、付き合っていることでプラスに働く、高め合える関係だと思っている。

 部屋のなかに入ってもらって、橙吾さんがさくっと短時間で作ってくれたパスタを食べながら心休まる時間を過ごしていると、「あのさ」と声を改められた。

 首を傾げる私から一瞬だけ目を逸らし、また戻ってくる。どことなく漂う緊張感にフォークをお皿に置いた。

「再来月にマンションの更新があるって言っていたけど、それ、更新しないでうちに引っ越してこないか?」

 驚きすぎて声が出なかった。
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