迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「先週桃花が体調を崩したとき、そばで看病できたらいいのにって思った。桃花は近くに頼れる人もいないし、心配なんだ」

 そこまで心労をかけていたんだ……。

「あとは単純に、もっと一緒にいたい」

 橙吾さんのまっすぐで大きな愛情が胸の奥に刺さって苦しい。

 私の方が好きだと疑わなかったけれど、もしかしたら橙吾さんの方が想ってくれているのかもしれない。だって、互いに忙しいから今以上に会う頻度を増やすのは難しいし、そもそも不満はなく現状で満足していた。

「試しに俺の家で数日暮らしてみるとか、そこから始めてもいい。前向きに検討してもらえないか」

 同じ日に、大事な仕事と、大切な人との未来について選択を迫られるなんて。神様の悪戯とはこういうことを言うのか。

「わかった。急なことでびっくりしているから、また改めて返事をしていい?」

 可愛げのある彼女なら、喜びに満ちた顔で即答するのだろうな。期待に応えられなくて心苦しい。

「もちろん」

 本音はわからないけれど、不満や不安などの感情を一切表さずに微笑む懐の深さに、また気が咎める思いでいっぱいになる。

 どちらにかんしても、一日でも早く決断しなければいけない。
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